就活の答え合わせが済んだ社会人視点から、後悔しない就活軸を見つけるインタビューサイト “ Career Anchor ”
今回は新卒で大手SIerに入社したのち、現在は外資系の戦略コンサルタントとして活躍しているTさんにお話を伺った。
戦略コンサルへの転職や戦略コンサル特有の仕事内容を解説していく。
目次
Tさんの経歴と仕事内容
新卒でSIerへ
私は新卒で大手のSIerへ就職しました。
SIerとは、顧客(クライアント)の要望に応じて、ソフトウェアを設計し運用に至るまでをサポートする仕事です。
SIer以外のIT業界に関して詳しく知りたい人は⇩の記事をチェック!
必然性が命!?「なぜIT業界を選んだのか」への答え方を徹底解説
そんなSIerで私は、経費精算のシステムを扱う部署に所属していました。
そこでは、プロジェクトに属しておおよそ1年半程の時間をかけて以下のような流れで仕事を行っていましたね。
①クライアントからニーズを聞き取る
この過程においては、クライアントとの打ち合わせが主な仕事内容になります。
クライアントが行っている業務内容を理解したうえで、
自社のシステムを導入することで、具体的にどのような業務を効率化することができるのか提案を行っていました。
実際に、業務をするうえで不便な点などを聞き取っていましたね。
②クライアントのニーズをもとにシステムの設計を考える
次に①で聞き取ったクライアントのニーズをもとにして、システムを作る上で必要になる設計書を作成します。
最初にシステムをどういう仕様にして、どの部分を変更するのかみたいなところをざっくり決めていました。
その後、より詳細な部分まで詰めて、システムのコードを書くことができるようになるまで設計書を書きましたね。
③システムのテストを行う
設計書が完成したら、実際にコードを書いてシステムがしっかりと動作するのかテストを行います。
システムがしっかりと動作することが確認できたら④の段階に移ります。
④クライアントのニーズに合わせてシステムを改良する
最後に、完成したシステムをクライアント側でもテストを行い、動作するか調整を行います。
テストを行った上で改良点が見つかった場合には、システムの改良を行うことになりますね。
その後は、クライアントのサーバーを新しいものに入れ替えたり、システムの使い方などをサポートして終了になります。
SIerとしての腕の見せ所
SIerで働くうえでの腕の見せ所としては、
クライアント内の現場社員とシステム導入を決定した経営陣の双方が納得する提案を行うことです。
現場社員は使いやすさを求めて多くの機能を求める一方、経営陣はできるだけ費用を抑えたいと考えています。
どちらの意見も理解しながら、双方に良い具合の折衷案を提示することが求められていましたね。
より上流を求めて!コンサルへ
私は二社目で、外資系の戦略コンサルファームへと転職しました。
仕事の内容は、企業がどのように経営を行っていくのかという戦略を考えるお手伝いをすることです。
扱うクライアントの業界は固定されておらず、プロジェクトごとに業界が変わります。
そして、一つのプロジェクトにアサインされると、大体6〜7週間でプロジェクトを行っていきますね。
プロジェクトの具体的な流れに関しては、下記のようになっています。
①クライアントとの打ち合わせ&リサーチ
はじめに行うのは、クライアントとの打ち合わせと要望に合わせたリサーチです。
新規事業の戦略が要望であった場合、どの業界が良いのか、将来性、競合他社などのリサーチを行ったうえで、
クライアント企業のケイパビリティなどを踏まえて選択肢をいくつか用意していきます。
②選択肢の提案
その後、クライアントに選択肢を提示し、ディスカッションをしたうえで戦略を決定します。
ここでポイントになるのは、新たな戦略を提案するだけでなく、
すぐに動き出して業界の中で戦っていけるようなところまで寄り添って考えていくことですね。
クライアントのふわっとした抽象度の高い考えを具体的な戦略へと変化させ、道筋を示していくことが重要な仕事になっています。
女性向けのアパレル企業を例にして考えてみると下記の図のようになります。
ファーストキャリアとしてのSIerって?
新卒としてSIerに入社し経験したことの中で、転職先で活きたことは下記の二つがあると思いますね。
①ITスキル
新卒で入社したSIerでは、システムの設計書を書いたり、現場社員と打ち合わせを繰り返し行うことでITに関する知識は増えていきました。
実際にコンサルとして働く中で、IT業界を扱う際に新卒で身に付けたスキルをリサーチの場面で活かすことができましたね。
②論理的思考力
私は一社目で、クライアントの中の現場社員と経営層の双方が納得する提案をできるように心がけていく中で、論理的思考力が鍛えられました。
コンサルで働くうえで、クライアントを納得させられる筋の良い提案を行うために論理的思考力が非常に重要な力になります。
一社目で鍛えていた思考力は、実際に仕事をする中でコンサルとしての仕事に活きていると感じますね。
Tさんの就活軸
私は就活時代の軸として下記の二つを軸としてあげていました。
①ビジネス貢献度の高さ
私は大学時代に塾講師としてアルバイトを行っていました。
その際に担当した生徒の成績が上がっていくことにやりがいを感じていましたね。
この時感じた達成感を社会の場で、より大きな規模感で感じたいと考えていました。
②ITスキルを身に付けられる
私は、ITスキルを身に付けることで「市場価値の高い」ビジネスパーソンになりたいという思いがありました。
そのため、就活の際には業種にはこだわりを持たずに「ITスキル」を身に付けられることを重視していましたね。
そこで、大手からベンチャーに至るまでのSIerやITコンサルから内定を頂いていましたが、多くのITスキルを身に付けられると考えて新卒ではSIerを選びました。
働いて気づいたズレと転職
実際に新卒としてSIerに入社し働く中で、ITに関してもっと深く知りたいという想いがわきませんでした。
その一方で、一社目で扱っていた経費精算のシステムを
「なぜ」導入することになったのかということに対してより深く知りたいと思うようになっていきました。
つまり、システムを導入するという経営判断に対しての興味がITへの興味を上回っていました。
正直、ITへの興味があまりなかったことは就活軸とのズレではありましたね。
就活を行っていた時にはきっと興味があるだろうと考えていたITの分野ですが、
実際に働くことによって本当に興味があることを知ることができました。
そして、興味のある経営判断をサポートすることのできる戦略コンサルファームへと転職することを決意しました。
戦略コンサル志望必見!戦略コンサルの魅力と苦労
魅力①様々な業界のビジネスモデルを知ることができる
上記でも述べた通り各業界へのキャッチアップを行いますが、その中で様々な業界のビジネスモデルを知ることができますね。
魅力②高いレベルで仕事ができる
また、私が関わるカウンターパートは部長以上のクラスの人々です。
そのため、より高いレベルの経営判断や悩みを知ることができます。
高いレベルで仕事をしたい人にはうってつけと言えますね。
戦略コンサルとして働く中で感じる苦労
魅力の面でも話していた通り毎回担当する業界が異なるため、業界のキャッチアップが必要になります。
様々なビジネスモデルを知ることができる一方で、キャッチアップ自体は大変であると言えますね。笑
また、コンサルタントとしてのスキルアップをしていくことも大変です。
クライアントとの打ち合わせで聞いたことに対して、論点をどう分解するのか。
筋の良い仮説を作ることやクライアントが納得する答えの出し方というように多くのことで試行錯誤を行う必要があります。
実際に先輩の働いている姿を見て学びつつ、実際に働く中でアウトプットしていくことを心がけて行っていますね。
戦略コンサルに向いている資質
①好奇心を持ち続けられること
ここまで述べてきた通り、戦略コンサルは様々な業界のことを知る必要があります。
好奇心をもって、業界のキャッチアップを行うことのできる人が戦略コンサルに適しているのかなと思いますね。
②根気強く努力できること
コンサルは答えがないことに対して1つの答えを見つけ出すために考え抜く必要があります。
粘り強く、クライアントの納得する答えを提示するために努力することが必要ですね。
また、私の働くコンサルファームは外資系のため、昇進形態も日系企業の年功序列型と異なります。
昇進が同期よりも遅くなってしまうこともあり得る話です。