就活の答え合わせが済んだ社会人視点から、後悔しない就活軸を見つけるインタビューサイト“Career Anchor

今回は、国公立大学の理系出身で、総合商社に勤めるNさんにお話を伺った。

初めから業界は商社に絞っていたというNさん。

入社して分かった商社のリアルや、総合商社を目指す学生が持つべき姿勢について語って頂いた。

業界・業種理解が深まる!先輩50人に聞いた就活レポート

総合商社の仕事内容

まず総合商社の事業は大きく分けて、トレーディング事業と事業投資(運用)の2つです。

私は現在入社3年目で、トレーディング事業の畜産系の部署に所属しています。

業務内容は、輸入した肉を国内で販売する営業です。

営業先は主に外食チェーン店で、スーパーにも販売しています。

新規開拓よりも、これまで築いてきた国内・海外の繋がりを活かした営業がほとんどですね。

営業先との商談は月に2,3回で、一日の多くを物流業務に割いています。

具体的には、仕入れた肉を誰に売るのか、その受発注をパソコンで管理しています。

基本はパソコンをポチポチしてますね。

業務内容は年次によっても変わります。

若手は国内の販売がメインで、年次が上がると海外の方と商談をして商品を仕入れるなど、仕事の規模が大きくなりますね。

事業投資部の仕事

事業投資部も経験しており、今の部署の前は事業投資部にいました。

そこでは事業会社の管理を担当し、事業会社の状況を本社へ伝えるために内部資料を作成していました。

事業会社の管理というと、事業会社へ直接赴いて社員と密に関わることを想像されるかもしれません。

しかし、実際は事業会社の財務状況の把握と、本社への社内説明資料の作成がほとんどです。

その点は意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

就活時代の軸と入社後のギャップ

正直、軸はありませんでした。

商社にした理由は、私の周りで商社に行く人がいなかったからで、ハッキリ言ってなんとなくです。

ただ、商社に決めてから、その理由を考えました。

その結果、過去の経験から商社が合っていると思ったし、実際に面接でも評価されました。

過去の経験とは、イベントサークルの立ち上げ、アルバイト・就活のサポート・紹介です。

大学生のライフスタイルに合わせた事業を行い、マネタイズしました。その戦略性が面接官にも受けましたね。

総合商社ならではの魅力

入社後のギャップとしては、8割満足で、2割くらい後悔しています。

まず満足している点からいうと、大きなビジネスに携われることです。

総合商社には長い歴史の中で築かれたビジネスモデルや人脈、仕組みがあります。

扱う業界も幅広く、自動車や航空機のような大きなものから、インフラや資源など生活の根幹になるものまで関わっています。

そのうえ、国内だけでなく海外にも拠点があり、グローバル規模でビジネスができます。

そのため、自分の知らない業界や国の話などが聞けるので、常に新しい知識に触れることができ、飽きません。

総合商社での後悔

一方後悔については、以下の2点があります。

1つ目は、スピードが遅い点です。

総合商社は関係する人や金額が大きいため、意思決定に慎重にならざるを得ません。

古い古い日本の会社で、いろんな人のイエスを取っていく必要があるので時間がかかるよね、という感じです。

そのため個人の裁量権が小さく、特に若手の間は上の決定で自分の仕事が大きく左右されて、年功序列の側面が強いですね。

例えば、事業投資で現場レベルでは赤字のため継続を断念したものの、上の判断で継続することになった事例があります。

さらに、社内だけでなく、社外ともイエスを取っていかないといけません。

商社の仕事では自社のみでやることはまずなく、パートナー企業と連携します。

そのため、各社で利害の不一致が生まれて最終的に折衷案になることもしばしばあります。

2つ目は、新しいことに挑戦しにくい点です。

チャレンジできる機会が部署によって左右される場合が多いです。

同じことの繰り返しで、業務でのやりがいや楽しさは正直あまり感じられません。

中には3, 4か月同じ業務を担当する人もいて、その環境に不満を抱き、退社する人もいますね。

とはいえ、部署の配属リスクは努力次第で最小限に抑えることもできます。

現に私は過去3回の配属を経験しましたが、全て希望の部署に配属されています。

配属リスクを最小限にするために、内定から入社までに、配属を誰がいつ、どのように決めるのかを先輩社員の方から聞きました。

決める人とタイミングさえ分かれば、あとは何を伝えるべきかを考え、やりたいことをロジックと熱意をもって伝えるだけですよね。

このように配属リスクを減らす努力をした結果、運に任せずとも希望する部署へ配属してもらうことができました。

総合商社を目指す学生が留意すべきこと

語学力、体力、コミュニケーション能力はあったほうがいいです。

とはいえ、私は語学力に優れていた訳でも、体育会系出身でもありません。

そのようなスペックよりも重要なことは、相手に気に入られる人柄だと思います。

例えば、電話がかかってきたらその場で出る、メールをもらったらすぐに返信する。

OBOG訪問の前日にリマインドを送る。

これら普通のことをしっかりこなし、好印象を持ってもらうこと。

つまり、相手目線でとことん考え抜けるかどうか。

これは商社に限った話ではないと思いますが、就活生には是非意識してほしいですね。

Nさんの就活の答え合わせ