就活の答え合わせが済んだ社会人視点から、後悔しない就の活軸を見つけるインタビューサイト“Career Anchor

今回は関西の公立大学を卒業後、大手証券会社へ営業職として新卒入社し、5年目になるSさんにお話を伺った。

Sさんが証券会社に入社を決めた経緯と、働く中で見えてきた業界のリアルな部分について教えてくれた。

業界・業種理解が深まる!先輩50人に聞いた就活レポート

大手証券での仕事内容

現在は大手証券会社でリテール営業をしています。

いわゆる、「証券営業マン」ですね。

具体的な仕事内容は、事業法人や宗教法人、学校法人のオーナーや経営者の方に資産運用の提案営業をしています。

新人の頃は新規営業もたくさんやっていましたが、今は既存のお客様への運用提案が多くなっています。

1日の動きは、大体1日に20〜30件の電話、2〜3件の訪問がルーティーンワークになっています。

私は地方配属で交通の便が悪いため、訪問時の移動時間は特に長くなってしまいますね。

就活の軸は「データ分析」

僕が就活生の頃に設定していた就活の軸は、「データ分析が出来る会社」「業界1位の会社」の2つでした。

特に「データ分析」の軸にはこだわりを持っていましたね。

というのも、大学時代はデータ分析のゼミに所属していたんです。

当時はデータ分析やAIが流行り始めた時期で、勉強を突き詰めれば10年、20年後に他人と差別化出来ると思っていました。

そしてゼミ活動をする中で、データ分析の分野で周りと差別化するには、「触れるデータの量」が重要だという気付きを得ました。

そのため、データを大量に保有しており、直接データを見れる「金融業界」と「コンサルティング業界」に興味を持ったんです。

証券業界に興味を持った理由

私が証券業界に興味を持ったのは、実は高校生の頃からなんです。

かなり早い時期ですよね。(笑)

証券業界に興味を持ったきっかけは、ビジネス雑誌や新聞が身近にあり、よく見ていたからだと思います。

高校時代は塾に通っていたんですが、帰宅すると『president』というビジネス雑誌や新聞がテーブルの上にあったんです。

「面白そう」と思い、夕食時に興味本位で株価の欄などに目を通していました。

そこから株式に興味を持つようになり、大学はお金について深く学べる商学部に進学しようと決めました。

就活の軸とは異なる職種を選んだ理由

私は今、証券営業マンとして働いていますが、一見すると就活の軸だった「データ分析」とは合わない気もしますよね。

しかし、私が営業を選んだ最大の理由は、「データ分析のスペシャリストになるには、まず現場を知るべきだ」と思ったからです。

というのも、データ分析をする時は、膨大な量の「数字」を見ることになります。

しかし、数字の羅列だけを見ても現場事情や背景を知らなければ、現実味のない「ただのデータ」になってしまう。

「データ上の数字を見るだけでなく、まず体験したいと強く思った」

これが、キャリアのスタートを「営業で頑張ろう」と決めた最大の理由です。

証券志望の学生が知っておくべき現場のリアル

証券営業マンのキャリアを歩んできた上で、証券業界を目指す学生さんに知って欲しいことを2つお話しします。

お客様は必ずしも合理的ではない

まず1点目は、「お客様は必ずしも合理的ではない」という点です。

法人等の機関投資家は別ですが、特に個人のお客様となると、良くも悪くも「感情」の要素が入り込むことが多いです。

機関投資家とは?

機関投資家とは、銀行や保険会社など大量の資金を使って株式や債券で運用を行う投資家のことをいいます。

機関投資家 l 初めてでもわかりやすい用語集

もちろんお客様は、こちらの提案する金融商品の内容、具体的にはメリットやデメリットも見られます。

ただ最終的には、「営業マンの人柄」や「自分と気が合うか」という部分を重視される方が多いです。

運用パフォーマンス等の数字だけでなく、「営業マンの人間性」もお客様からの大きな評価対象なんですよ。

そのため、「筋の通った合理的な提案をすれば契約を取れるんでしょ」と甘く考えている人は痛い目を見ます。

よく耳にするかもしれませんが、「お客様の信頼を勝ち取ること」は営業マンにとって本当に重要なことですね。

証券マンは「サービス業」だ

2点目は、「個人向け営業はサービス業の側面もある」という点です。

証券マンは、金融商品の営業とお客様から預かった資産の運用が主な業務になります。

しかし、個人営業の場合は、お客様から変わったお願いをされることもしばしば。

例えば、お客様に「息子の進路選びを手伝って」とお願いされることだってあります。

高齢のお客様に、老人ホーム探しを依頼されたりもしました。

ある先輩は、お客様から「スマホのストラップを付けて欲しい」と急に電話が来て、わざわざ出向いた時もあったそうです。(笑)

お客様から信頼されている証でもありますが、こうしたサービス業的一面もあることは知っておいて損はないと思いますよ。

場所に囚われない就職活動とは?

僕が学生の頃は、地方企業の魅力なんて全く知りませんでした。

でも地方企業の中には、その土地ならではの地場産業を営んでいる会社が沢山あるんです。

地場産業とは?

地場産業とは、一定範囲の地域内において、特定の業種の企業が集まって形成されている産業のこと。

こうした地場産業の特徴に、地域内のネットワークが濃いという点が挙げられます。

地域内のネットワークを通じて、土地や物件を安価に借りれることもあるみたいです。

だから将来的に独立を考えている方は、地方スタートも悪くないでしょう。

就活生の方で「なんとなく地方は嫌だ」と考えておられる方は、一度立ち止まってみてください。

会社の事業内容や経営状況などの視点も持ってみると、場所に囚われないより本質的な就職活動が出来ると思います。

Sさんの就活の答え合わせ