就活の答え合わせが済んだ社会人視点から、後悔しない就活軸を見つけるインタビューサイト“Career Anchor

今回は、有名私立大学政治経済学部を卒業後、外資系海運会社に務めるMさんにお話を伺った。

就活時代はインフラ系を中心に見ていたというMさん。

幅の広いインフラ業界でなぜ海運業界を選択したのか。

海運会社に就職した経緯と、あまり知られていない海運業界の裏側について語って頂いた。

業界・業種理解が深まる!先輩50人に聞いた就活レポート

海運会社での仕事内容

大きな船に積荷(コンテナ)を積み込んで運ぶのが、海運業界の大まかな仕事です。

私は船に載せるためのコンテナを集める、営業の仕事をしています。

現在は既存顧客である住宅・自動車メーカーを担当しています。

「うちの船、使いませんか」という具合に営業をかけていますね。

私の会社では海上輸送以外にも、内陸輸送や倉庫管理等もサプライチェーン物流の一環として提案しています。

他にも海運業界はコンテナ船の会社もあれば、タンカー・ドライバーメインで事業展開する会社もあります。

海運業界を細かく見ると各海運会社の強みや弱み等、ビジネス構造の深掘りができて業界分析に役立ちますよ。

 ↓コンテナ船のイメージ↓ (全長:縦300m×横50m) 

Mさんの一日のスケジュール

朝8時に出社、夜は17時〜20時の間に退社という日々です。

朝に、担当する船の消席率をメールで確認します。

消席率とは?

本船積み荷スペースに対する船積み実績の割合。コンテナ船の場合は,積載可能コンテナ数(又は割当スロット)に対する積コンテナ数の割合。

さ行 | 板橋商事株式会社|海上コンテナ輸送|一般トラック輸送

もし消席率の低いコンテナがあれば、担当者にすぐさま状況の確認をとる。

その後に2〜3件程ウェブミーティングを済ませる。

午後は見積書の作成や問い合わせ対応等、一営業マンとしての業務を中心に行っていますね。

業界内における業務(営業職)の難しさ

仕事上メーカーとの運賃の契約をする際に、非常に多くの関係者と交渉を進めます。

そこで現地の工場と日本側のメーカー間の意見の擦り合わせに難しさを感じますね。

最近の例で言うと自動車メーカーの減産です。

半導体不足が原因で、部品の生産元である中国が例年通りの生産を維持できないことがありました。

これではいくら日本の自動車メーカーが自動車を増産したくてもできません。

原産地と生産地の間に割って入って、輸送量やコストといった物流を調整した時は思い返しただけでも大変でした(汗)。

また、自社が進める内陸輸送の新事業においても似たようなことが言えます。

自社と取引先双方でやりたい事業があったとしても、物流に欠かせないスペースの貸し出しで協力を得られずに難航することがあります。

難しい調整業務ほど、ミーティングの回数がかさみ、調整が困難になります。

特に仕事の難しさを感じる瞬間ですね。

海運業界で働く魅力

3つの魅力があると思います。

①グローバルであること

あらゆる産業の中で最もグローバルなのが商社、2番目が海運会社と言われたりもします。

ミーティングには国籍色豊かな方々が多数出席し、社内メールやお客さんとの調整は英語が殆どです。

「将来、世界を飛び回って仕事がしたい!」

そんなグローバル志向の強い人にとってこれ以上ない環境だと思います。

②スケールが大きいこと

船が大きいのはもちろんですが、その船1便を動かす燃料(重油)だけで4億円もかかるんですよ(笑)。

1契約で年間10億円規模の契約をしたときの売上高を見た時は流石に驚きましたね。

また、関係者と一口に言っても、作業会社や積み下ろしを担当する人を考えると関わる人は数え切れないくらいの人がいると思います。

③実体経済に近いこと

海運業界は市場の需要と供給によって輸送料等が決まります。

世界情勢の関係でコロナ期に北米3000ドルの輸送料が2万ドル超になったこともありました!

海運業界を選んだ就活軸、入社後のギャップ

就職までの経緯

学生時代、販売代理店の営業をしていたのですが、正直あまり上手くいきませんでした。

その時、販売代理店の存在価値についてふと考えたんですよね。

販売代理店がなくてもサービス提供者が直接売れば問題ない話じゃないか、そう思ったんです。

このような経験があり、真逆の必要不可欠なサービスを提供する業界を見るようになりました。

中でも商社のインフラ部門やエネルギー産業等、前々から興味のあったインフラ業界を一層調べましたね。

その中でも海運を選んだ理由は、グローバルに仕事がしたいと思っていたからです。

祖父が漁師をしていたことも、最終的に海関係の仕事を選んだ要因の一つかと思います。

入社後のギャップ

社会に不可欠な仕事に携わりたいという企業選びの軸に、大枠ずれはありませんでした。

ただ、もう少し少数精鋭で仕事が進んでいくと思っていました。

確かに意思決定者は限られているのですが、それを取り巻く関係者はすごい数いるので、思ったより調整が大変でした。

沢山の関係者と交渉しながらビジネスを動かしている現実には就活前と大きなギャップを感じましたね。

あと、海運業界が意外とニッチな産業であることに、入社後気づきました。

メジャーじゃないからこそ他業界と掛け算ができれば、とも考えています。

例えば物流×金融みたいに、海運の知財を別業界に持ち込んでイノベーションを起こせば仕事の幅がもっと広がりそうですね!

海運業界に興味がある学生

海運業界で求められる資質

最新の情報をキャッチアップし、俯瞰的に物事を考えられる。

そんな視野の広さが求められますね。

海運業界は世界のマーケット動向が直接的にビジネスへ影響する業界です。

一瞬の判断が大きな業績向上にも、大きな損失にもつながります。

社会の流れを的確に捉え、自分のビジネスにどのように影響するのかを考えられる人、更には先を見通して施策を打てる人ほど成功している印象があります。

また、最低限英語ありきの仕事なので、ある程度の語学力は求められますね。

実際、面接は英語で行われました。

繰り返しになりますが、英語を使って仕事がしたいという方にはオススメの業界ですよ。

当然、私のような営業職の場合は営業マンとしてのスキルも求められますね。

営業職に必要な3つの資質について

【IT業界】「口下手だから…」営業職を諦めないで!法人営業の魅力 – Career Anchor (career-anchor.jp)

Mさんの就活の答え合わせ