就活の答え合わせが済んだ社会人の視点から、後悔しない就活軸を見つけるインタビューサイト”Career Anchor”
今回は、SaaS企業で法人向け人事システムのマーケティングを担当しているHさんにお話を伺った
SaaS企業かつBtoBならではのマーケティングの実態を詳しく解説する。
Hさんの経歴・仕事内容
私は法人向けのクラウドサービスを提供するSaaS企業でマーケティングを担当しています。
新卒で入社してから三年で、インサイドセールスと事業企画を経験しました。
日々の業務内容は、広告運用や外部媒体(BOXIL SaaSやITトレンド等の比較サイト)の活用、メルマガの配信などです。
事業企画ではエクセルやMAシステムなどを用いての数値分析に力を入れていたのですが、現在はその経験をマーケティングで活かしています。
1つ1つの施策単位で費用対効果を分析し、良い施策かどうかを定量的に確認しています。
Hさんの就活軸
私が掲げていた就活の軸は、
の二つです。
上記二つの条件に合う企業を探すときは
の3つの観点で見ていましたね。
個人的に、新規事業と言っても小規模のベンチャーは制度や環境が整っていないのではないかと考え、選択肢から外しました。
その後は大手も視野に入れていましたが、急速に成長する企業には何かがあるのではないかと考えたんですよね。
だから、最終的にはメガベンチャーに絞って就活をしたんです。
何故この就活の軸を掲げるようになったのか
上記二つの就活軸は、自分自身の体験が大きく影響して重視するようになったものです。
学生時代にイベント事業の拡大を目指していたのですが、半年掛けて取り組んだプロジェクトが途中で水の泡になりました。
その時に、自分の無力さを感じたんです。
ビジネスの創案部分を考えることは出来ても、全体像を捉える力がありませんでした。
だからこそ
を就活の軸にしたんです。
入社後のギャップ
入社後のギャップは特にありません。むしろ現在の環境に満足しています。
理由は、組織として土壌が整っているからです。
全員がビジネス的に当たり前の事を当たり前にできることに加え、仲間意識のある環境で働けています。
入社後気づいた「自分のレベル」
ビジネスマンとして強くなれる環境という点のギャップはありませんでしたが、同期のレベルの高さには驚きました。
同期には、ただ優秀なだけではなく、今までの人生で何かを成し遂げてきた人が多かったんですよね。
自分は周りよりも出来る人間だと思っていたのですが、そこで改めて自分の無力さを実感しました。
ただ、そんなレベルの高い同期と切磋琢磨出来る環境にも感謝しています。
マーケを目指す学生への注意点
一口にマーケティングと言っても、事業会社や代理店、BtoCやBtoB等の立場によって、仕事の取り組み方に違いがあります。
事業会社と代理店では動き方が異なる?
代理店は”獲得できる見込み顧客”や”サイトの閲覧数”等の指標に基づき、マーケティング活動を行います。
複数社を支援してきているので、Googleやyahooで検索順位を上げるための知識などをより多く保有しています。
一方、事業会社のマーケティングが掲げる最終的な目標は受注獲得です。
ただ見込み顧客(リード)の数を伸ばせば良いという話ではないんですよね。
そのため、最終的な受注から逆算して打ち出す施策を考える必要があります。
ここが事業会社のマーケティングの面白さでもあるんですよね。
代理店も最終的な受注を目指す過程に介入すること自体は可能ですが、やはり限界があります。
製品やサービスの最終的な受注までを考えながら仕事ができるのは、事業会社のマーケティング独自の楽しさですよ。
また、複数の事業やサービスを展開する事業会社のマーケティングでは会社全体を俯瞰することも必要です。
施策を打つ前提として施策に掛かる人件費などの”費用”と、その施策で得られる”売上”が見合うかどうかを会社目線で考えることもあります。
BtoBとBtoCでは何が違うの!?
基本的な動き方は顧客の情報を収集して仮説を立て、施策を打ってはそれを振り返るという形になります。
その振り返りを通して、顧客選定の精度と顧客課題の理解を高め、施策の質を改善していくんです。
ただ、BtoBはBtoCに比べて圧倒的にデータの総数が少ないんですよね。
改善を重ねてデータのサンプルを増やすことはできます。
ただ、どの施策がどれだけの受注を作り出したのかを把握するのが難しいです。
定量分析に限界があるからこそ、定性分析も怠らないようにしています。
定性情報の集め方の一つはインサイドセールスとの連携です。
商談に繋がった企業にはどのような特徴があったのか等をヒアリングして情報を集めています。
他にも、プロダクトに応じたセミナーを開催した場合には、どのような企業が参加しているのかを調べます。
一つ一つの施策を徹底的に振り返ることを意識しており、その振り返りを施策の質の改善に繋げます。
インプット量=マーケターのレベル!?
マーケティングの仕事をするうえで、日々のインプットは非常に重要です。
日々の業務の中で数字分析の比重は大きいですが、その集大成こそが施策です。
そのため、打ち出す施策をいかに魅力的なものに出来るかどうかも大変重要になります。
私は日常生活を送る中で、他の業種のマーケティングや電車の広告などに目を向けるようにしています。
様々な広告を目にして、自分のプロダクトのマーケティングに転用したらどうなるかを考えているんです。
インプットした情報の量によって、自分が出せるパフォーマンスの質に差が出てくると思うんですよね。
BtoBマーケティングに求められる資質
数字の背景や施策が成功した要因を振り返ることが求められるからです。
一目ではわからないことを追求することにワクワクする人はマーケティング職に向いていると考えます。
他の部署や外部の方と関わりながら仕事を進めることも多いからです。
関係者との信頼を高めることで初めて得られる情報もあったりするんですよね。
マーケティングは広告を作るイメージが先行しがちです。
しかし、広告作りは徹底的な分析を終えた後にデザイナーと協力して行います。
そのため、そこに至るまでの粘り強い定量分析、定性分析をすることに抵抗がある人は仕事を続けるのが大変だと思います。